君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
・・・俺には一体、何が出来るんだろう。
「・・・凜」
「ん?・・・きぃくん、手冷たいね。大丈夫?」
「・・・居なくならないで。お願いだから・・・」
心の声に導かれ、それに従うように、小さなその手を握って、呟いた。
これが俺の、心の叫び。
・・・情けない。
こんな頼みをしたところで、凜を困らせるのは分かってた。
凜が居なくなるのは、凜のせいじゃない。
それでも嫌だった。凜はこうして此処に居る。
"居なくならないよ、大丈夫" ・・・って、そう言って、笑って欲しかったんだ。
「・・・ごめんね?」
凜の暖かい手が、震えるこの手を強く握った。
「わたしが居なくなっても、たぶん・・・ここに来たら、会えるんじゃないかな」
「・・・海?」
「うん、なんとなくだけど・・・いのちのあつまりって感じがするから」
・・・そんなに哀しそうな目で、俺を見ないで。
俺は・・・海なんかを見たって、凜を思えない。
凜の生命は、今、目の前に・・・
此処にしか、無いんだから。