君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう

そんな中で迷うことなく赤色を手に取ったのは、妃菜。


「私は昔から赤しか見てないのさ」

「情熱の赤!」

「そ、情熱の私」

「なんか怖いよ・・・助けて優人・・・」

「いや、無理」


妃菜から赤色を想像するのは難しくも何ともない。

ダルそうにしてて実は何にでも全力な妃菜は、カッコいいと思う。

気合いで何とかなる、って感じが物凄い(笑)


凜は最後に俺を見つめて、手に持った紫色のストラップを目の前に掲げた。


「きぃくんはこれ」


・・・思い返せば、今まで凜が俺にくれた絵はほとんどが紫色のペンで描かれた物だった。

なんで、紫。

赤とか青とか緑とか、何なら黒とか白とか・・・。

紫が好きだなんて一言も言ったことは無いし、別に嫌いでは無いけど、そのチョイスは単純に気になる。


「・・・なんで紫?」

「んー・・・きぃくんは赤かったり青かったりするから」

「え?」


赤かったり、青かったり。

足して紫になるのは容易に理解出来たけど、その赤かったり青かったりが全く分からない。

俺は赤くも青くもない。・・・真っ黒だし。


凜には、何が見えてる?


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