君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
「ねぇねぇ、俺たちもみんなで写真撮ろーよ!」
「記念撮影かなんか?」
「思い出の記録じゃん!」
射的コーナーを抜けて、わたしたちは今、フォトスポットに居る。
後輩のクラスがやっている、写真撮影のためだけに作られた教室。
『不思議の国のアリス』をモチーフにしたトランプや森、壁にはたくさんの風船が飛んでいる。
自分たちで撮ることもできるし、クラスの人が撮ってくれたりもするんだって。
カップルが多い。
「すいませーん!撮ってくださーい!」
「あっ、はーい」
「昂生はすぐ行くんだから」
「だって優人が文化祭にいんの初めてだし、可愛い女の子が二人もいるから!」
「去年なんか俺と昂生の二人だけで、映えなんてものは微塵もなかったよ」
そうこうしているうちに、昂くんが誰かにスマホを渡して撮影を頼んでいた。
そっか・・・去年は昂くんと蒼くんの二人だけだったんだ。
淡々と話す蒼くんだけど、嫌そうではなかった。