君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう


文化祭も終盤に差し掛かって、特にすることもなくなった頃。

閉会式の係がある妃菜と別れて、昂くんと蒼くんはお友達に捕まったらしく教室に戻っていった。


「きぃくんはいいの?行かなくて」

「うん」

「わたしを一人にしたら・・・不安?」

「・・・それもある。でも俺は凜と居たいから」

「へへ・・・嬉しい」


きぃくんもまた、昂くんたちと一緒に呼ばれていたけど 『俺はいい』 って断っていた。

だから今は、きぃくんとふたりきり。

『凜と居たい』だって・・・嬉しくてにやけちゃうね。笑


この学校に転校してきた目的は、妃菜と同じ高校に通ってみたかったから。

このギリギリの体で、本当は学校なんか行かなくてもいいものだって知ってるけど、妃菜と一緒に学校生活を送ってみたかった。

そんな小さな目的だったものが、きぃくんと出逢って、大きな幸せになって。


わたしはここであったことを、このあたたかい時間と空間を、絶対に忘れないと思う。

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