君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう

「・・・ちょっと、移動してもいい?」

「ん?うん」

「ありがとう」


なんとなく外の風が恋しくなって、わたしたちは昇降口のそばに移動した。

もう9月の半ば。

暑さは日に日に和らいで、夕方ともなると風は少し冷たい。

季節が巡るのは早いなぁ・・・もう秋だって。

きぃくんと出会ってから、もうすぐ半年が経つんだよ。


あの時のことを思い出して、懐かしいね・・・って言おうとした瞬間、突然の動悸にそれは阻まれた。


「・・・はぁっ・・・」

「凜?凜、大丈夫?」

「ん・・・はぁ・・・っ、まだ、へいき・・・」


きぃくんは、前触れもなくその場に座り込んだわたしに動揺することなく、同じように屈んだ。

・・・人がいないところで、まだよかった。

注目の的になるのだけは、どうしても嫌だから。


「きぃくん、て・・・」

「・・・うん」


・・・心臓が、ドキドキする。

息が少し苦しい。

発作の程度はだいたい把握してるつもりだから、こんなのよくある小さなものだって分かってるけど、それでも不安で、苦しくて・・・

わたしは、きぃくんの手をぎゅっと握った。


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