君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう

数秒、数分が、何十分にも感じられる。

治まらない動悸は酷くなっている気がするし、徐々に出始める胸痛。

このまま大きな発作が起きたらどうしよう。

手術しなきゃいけないくらいになったらどうしよう。

そしたらわたし、そのまま、死・・・


「や・・・だぁ・・・っ」

「凜、泣かないで。心拍が上がるから・・・大丈夫だから、落ち着いて」


不安と恐怖に取り憑かれて泣き出したわたしを宥めるように、きぃくんはずっと背中をさすってくれる。

よく『心拍が上がるから泣かないで』って、病院の先生に言われたのを思い出した。

でも、泣きやめないもん・・・こわい、くるしいよ、しにたくない、たすけて。


「きぃく・・・いたい・・・っ」

「・・・凜、ごめん。ごめんな」


『二人を、呼ばせて』


そう言ったきぃくんを止めることは出来なかった。

その二人はきっと、昂くんと蒼くん。

・・・最期まで隠し通すことは出来ない。


わたしの背中を撫でながら電話を掛けて、少し焦って話すきぃくんの声を、わたしはただ聞いているだけだった。
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