君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
教えて貰った病室まで行き、ガラガラガラッ・・・って重たい音を立ててドアが開くと、凜と妃菜がそこに居た。
「本当にみんな来てくれたんだ・・・おはよう」
「・・・おはよう、凜」
「妃菜もおはよー!昼だけど!」
「おい。私だけついでみたいなのやめて」
・・・普通に会話をしてはいるけれど、凜の姿を見た俺は、正直怖くなっている。
蒼も昂生も、入ったばかりの一瞬の真顔を見ると、そうなのかもしれない。
凜が生きていた。
こうして当たり前のように生きていたことに安堵するが、当たり前のことではない。
腕から繋がる点滴や、彼女の横で規則正しい音を鳴らす大きめのモニターは、ドラマなんかでしか見たことがない。
やけに生活感のある部屋全体は個室で、凜が昔から使っていた病室なんだろうというのが分かった。
凜は平然としているけれど、今日は二人にも自分の話をするということをメールで聞いていた俺は、不安な気持ちが拭えないで居る。
淡々と言葉を交わす凜の目が、・・・真っ暗に見えるから。
俺が初めて凜を見たときの、あの冷たい目に見えるから。