君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう
それから数時間そこに入り浸った俺たちは、面会終了時刻を迎え病院を出ていた。
今は妃菜も一緒だ。
この四人で・・・っていうのは何だか珍しい気がしないでもない。
その珍しさのせいなのか、それとも別の理由なのか、俺たちの間に流れるのは何とも言い難い重苦しい空気。
曇った空がなおそれを引き立てている。
「昂生と蒼・・・凜から話聞いたんだよね?」
妃菜からの恐る恐るの問い掛けに、二人は「うん」と答えた。
その事実の受け止め方を、少し前の俺は知らなかった。
だから彼らも・・・迷い、考え、苦しんでいるんじゃないかと俺は思う。
「・・・凜ちゃん言ってたよ。『もうすぐでわたしは死ぬけど、今はそれを忘れるくらい笑いたい』って」
「優人にすごく・・・感謝してた」
「・・・俺?」
「うん。『死ぬまでの時間を楽しいと思えたのはきぃくんのおかげ』って、笑いながら言ってた」
・・・凜。
俺は凜になにかしてあげられてるのかな。
凜をどうにかしてあげたい、って気持ちだけで、実際出来ている実感は全くない。
そんな俺に感謝してくれる凜は、一体何者なんだろう。
こんな俺が、こんな俺でも、凜は
そう言って、笑ってくれるんだ。