scarlet


「あぁ、構わない」

「じゃあ、そろそろ帰らなきゃと思ってたし
龍、行こっか」


そう告げてみんなに手を振り龍と倉庫を出る


「龍、ありがと」


「んー?なんのことー?」


分かってるくせに、こういうとこほんと
龍は鋭い。私が気にしてること
きっと他のみんなも分かってると思うけど
行動に移してくれるのはいつでも龍


「何かを聖夜が抱えていて、それは私にも
言えないようなことで。だけどこうなることは
彼と話したあの日覚悟した上でそれでも
みんなのそばにいることを決めたの。」


だけどっ、と力いっぱい必死で話そうと
すればするほど涙が出そうになる


「……俺らと居るのが、辛い?」


「ううん、みんなと居る時間は楽しいの
辛いことはそうじゃなくて、内緒にされてるのに
今の聖夜は私を優先してくれないのにっ
その事がどうしようもなく悲しいことだって
思えないことが悲しいのっ、」


涙が、溢れる。
龍は私が泣いたことに驚いているのか
言葉を聞いて驚いているのか
きっと両方だろうけど

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