scarlet

「それって、もう聖夜のことは
好きじゃないってこと?」


「わかんないっ、気持ちがないわけじゃ
ないんだと思う。だけどこの気持ちがなくなれば
私がみんなの近くにいる理由がなくなるっ

それは、いやなの」


私の大好きな居場所を作ってくれたのも
そこ居られるのも全部聖夜のおかげなのに
彼との関係が壊れてしまえば私はもう
彼らの傍に居ることは出来ない


「聖夜が嫌いなわけじゃない、今でも
ちゃんと好きなんだけどっ
その好きの形が曖昧なの」


「美桜と聖夜は別物だよ。みんな星夜の
女だったから優しくしてたわけじゃない

美桜だから、俺らにちゃんと向き合って
くれたから。大事にしたいってみんな
思ってたんだよ。だからもっと素直になって
いいと俺は思うんだよね」


そう言って頭を撫でてくれる龍

いつもはもっと伸ばし口調で弟みたいで
甘えてくるくせにこういう時誰よりも
説得力があるからずるい


「ごめん、ね
困らせちゃって」


「ふふ、いいよーー
じゃあいこっかーー」


いつもの口調に戻る龍

やっぱり本当の感情なんて、素直になんて
なれないわよ。
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