scarlet

あくまで私が聖夜のとこに戻ったのは
今の聖夜を放っておけないと思ったみんなの
優しさからだ。

聖夜がもし、本当に壊れてしまえば
私はきっと悪者になる。


私と聖夜を別物に考えてくれていても
みんなにとって聖夜への尊敬の域は
半端じゃないことは知っている。


｢俺がきっと、どれだけ伝えても美桜は
考え出したら悪い方にばっかり考えちゃうから
意味無いかもしんないしどうせ今も
頭の中その事でいっぱいなんだろうけど｣


龍に話しかけられてはっ、とする


｢本当に、龍はなんでもお見通しなんだから
エスパーか何かなの？｣


｢ふはっ、美桜が分かりやすいんだよ｣


私って、そんなに分かりやすいのか？
今まで上手く隠してきたつもりだったんだけど


｢俺は好きだよ。美桜のそういうとこ｣


どういうとこ？って顔に出てたのだろうか
またふふっと笑って


｢考えすぎちゃうとこも、顔に出ちゃうとこも
全部かわいいよ｣


っ、甘すぎないか


｢総長が手放せない理由は、傍で見てきた
俺等がよく分かるよ｣


そう言った龍のことを見上げると
何を考えてるのかよく分からない表情をしていて


｢ほんとすごいよ、俺達の総長は｣


龍はきっと1番聖夜に懐いてる
聖夜も龍を可愛がっているのはよく分かる

いや、ただでさえ龍は可愛いから
みんなから甘やかされているんだけど


｢そうね｣