scarlet


「誰にも真似出来ないしあれはあとから
創り出せるものじゃない。ああいうのが
カリスマって言うのかな。人を引き寄せる魅力が
聖夜には人一倍あるし、俺らみんなきっと
トップが聖夜じゃなかったら今頃魁星には
居なかったんじゃないかなって俺思うんだよねー」


「聖夜のこと、大好きなのね」


「俺だけじゃなくてみんなそうだけどねー
同じ歳だからこそ余計にすごいってことが
近くで見ててわかるって言うのかなあ
誰も、超えられないよ」


この言葉を聞いた時、どうしようもなく
一人になりたくなった
これ以上龍と一緒に居たくなかった

聖夜を一番尊敬している龍に
引かれてしまう気がした



「龍、もうここら辺で大丈夫…」


「え?家の前まで送るよー?」


「もう近くだし」


「まだもうちょっとあるじゃん
てか、なんか怒ってる??」


龍は私のことよく分かってるから
上手く誤魔化せるはずないのに。


「怒ってない」


「嘘、じゃあ顔見て言ってよ」


さっきからまともに目を合わせられない


「やだ」


「やだじゃないでしょ。こっち向いて」


「やなのっ」


真っ直ぐな瞳を向けられるのが怖い
だけど、私も引けなくて


「もー、何怒ってんの??」


「怒ってないってば!
龍しつこい!」


さすがにいつもは優しい龍でも
イラッとしたようで


「チッ、こっち向けって」


少しきつくなった口調で無理やり
私の顎を掬う龍と嫌でも目が合う

子供みたいに駄々をこねてしまって
なんだか自分でもよくわかんなくなる

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