scarlet
始まりの合図
あの日もこんな、憂鬱な雨の日で
私と彼の関係が大きく変わった〝あの日〟
いつも私のわがままばかり聞いてくれていた彼が
切ない顔でお願いしてくるものだから
どうして、なんて問い詰めることもできなくて
もう二度と会えない彼にわかったと短く返事して
私と彼の関係は終止符を打った。
「懐かしい、わね」
彼に振られてからもう1年も経つのに
私の心はまだ彼に囚われたまま。
学校に行く気にもならないぐらいの
最悪な天気で部屋の窓から空を見る
ジメジメした天気なのに家に一人でいるせいで
どうしても思い出したくないあの日を思い出してしまう。
「美桜(みお)?入るわよ??」
「お母さん、」
「今日もお休みするの?」
部屋から出てこない私を心配して部屋まで来たお母さん。
「ううん、もう少ししたらちゃんと行くから」
本当は行きたくなんてないんだけど、休みすぎるとお母さんに心配かけちゃうし。
私がそう返事すると安心したようにお母さんは部屋を出ていった