scarlet

始まりの合図




あの日もこんな、憂鬱な雨の日で


私と彼の関係が大きく変わった〝あの日〟


いつも私のわがままばかり聞いてくれていた彼が
切ない顔でお願いしてくるものだから

どうして、なんて問い詰めることもできなくて
もう二度と会えない彼にわかったと短く返事して


私と彼の関係は終止符を打った。





「懐かしい、わね」


彼に振られてからもう1年も経つのに
私の心はまだ彼に囚われたまま。


学校に行く気にもならないぐらいの
最悪な天気で部屋の窓から空を見る


ジメジメした天気なのに家に一人でいるせいで
どうしても思い出したくないあの日を思い出してしまう。


「美桜(みお)?入るわよ??」


「お母さん、」


「今日もお休みするの?」


部屋から出てこない私を心配して部屋まで来たお母さん。


「ううん、もう少ししたらちゃんと行くから」


本当は行きたくなんてないんだけど、休みすぎるとお母さんに心配かけちゃうし。


私がそう返事すると安心したようにお母さんは部屋を出ていった

< 2 / 35 >

この作品をシェア

pagetop