scarlet
何気ない毎日を過ごしていたのに
それが崩れたのが、お昼休みのこと
電話がなったと思えば、翠からだった
「もしもし?」
「もしもし?美桜?
今日の放課後なんか予定ある?」
これで倉庫に行ってしまえば龍と顔を合わせることになる。昨日龍からメッセージは来てなかったし私も送ってない。
「ごめん、今日はちょっと…」
「うーん、そっか。明日は来れそう?」
「多分大丈夫だと思うけど。
いつもそんなこと聞かないのに珍しいじゃない」
翠はこんなこといつも確認したりしない
そもそもあまり用の無い連絡をしてくる
タイプでは無い
「いや実はさ、龍がすっごい機嫌悪くて
何があったのか知らないけど美桜が来たら
ちょっとは良くなるかなーって思って」
「私はだめよ。もう龍とは絶交したの
今私の顔見ても余計機嫌悪くなっちゃうじゃないかしら?」
そっか、みんなには話してないんだ
「え?なんでまた…」
「ごめんね。当分本当は行きにくいの
龍の面倒大変かもしれないけど」
頑張ってね、と言って電話を切る
みんなには申し訳ないことしたな、なんて
考えながらみんなの輪の中に戻る。
久しぶりに倉庫に行かない代わりに放課後
クラスの女の子たちで遊ぶことが決まって
久しぶりに向かった先はカラオケ
「ねぇねぇ、何歌う?」
「美桜!1番目歌ってよー!」
なんて言われてそこからは大盛り上がり
「美桜歌うまーい」
「ほら、誰か次入れてよー」
「ごめん、私お手洗い行ってくるね」
隣に座っていた友達に声をかけて
大音量になれてしまったせいで
部屋を出ると耳が変な感覚になった
みんなといると龍との喧嘩も忘れられて
気分がよかった。