scarlet

1ヶ月間、倉庫にも行かなかったし龍から連絡もなかった。
みんなに私たちの話が回ったのか誰からも倉庫に来いとは言われなかった。

2週間魁星の誰にも会わなかったおかげで
思い出すことが減った。
というよりは、頭からあのシーンを消した


毎日朝が来て学校へ行って気が付けば
放課後になっている、そんな毎日が続いてた


(もうこのまま、魁星の誰にも
会わない方がいいのかもしれない、わね)


なんて思いながら門を出たら


「あら、翠」


「久しぶりだね、美桜
良かったまだ学校に居て」


「わざわざ翠がここまで来るなんて
珍しいじゃない」


「うん、今日はちょっとね。
今から時間ある?ちょっと来て欲しいとこが
あるんだけど」


嫌な予感しかしない


「倉庫は嫌よ」


「ははっ、まだ龍と喧嘩中?
倉庫じゃないからさ。だめ?」


「翠からお願いなんて珍しいわね
いいわよ。」


翠がこんなふうに自分から出向いて
お願いするなんてきっと余程のことだろう


「良かった。じゃあ後ろ乗って」

そう言ってヘルメットを被せられたら
安全運転で進んだあと止まった先は

高級住宅街の一軒家


「誰の家?」


「ここ、紫苑の家
風邪引いちゃったみたいでさ
看病してやってくれない?」


初めてきた紫苑の家


「あら、そうなの?いいわよ。」


と返事すると良かったと微笑んで
熱さまシートやお粥が作れそうな食材が入った
袋を渡された


「ごめんね美桜。帰りはまた連絡してくれれば
迎えに来るから」


「分かった。ありがと」


鍵は空いてるはずだからと言って
バイクで帰っていった翠

言われた通り鍵は開いていて誰もいない様子


「お邪魔します」


と言っても返事がなく、2階に上がってみれば
一つだけ扉が閉まった部屋があってノックしてみるも返事がない

「紫苑?」

そう言って部屋に入ると


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