scarlet
結局、私も聖夜もずるい
私は聖夜の一番になりたいと思うのに
私の中の一番は曖昧で、
聖夜は私を離さないくせに
優先するのは、私じゃない。
二人とも、こんなんじゃ
続くものも続かないこと分かってるのに
「こんな俺の事、嫌にならない?」
身体を離して私を見つめる聖夜の目が
不安そうに揺れる
「私は、」
「俺以外誰も、見ないで」
あぁ、そうか
察しがいいのは私だけじゃない。
聖夜だってきっと私の気持ちに気付いてる
お互いどこか気持ちがふわふわしていて
離れていってしまっていることに
そしてそれがどうしようもなく不安になる
分かりきっているのにどちらも何も捨てられない
「おかえりなさい!!」
下から下っ端の子たちが挨拶している
声が聞こえてきて
お互い何事も無かったかのようにそっと離れる
ガチャ
「話できた?」
「うん、聞いたよ」
そっか、と翠が少し困ったように微笑んで