scarlet

「面白くない、って……」


不服そうな顔をする紫苑


「駄々をこねれば美桜に甘い聖夜は
何かを犠牲にしてでも傍に居ることなんて
頭の良い美桜はわかってるよ。

だけど理解してるんでしょ、聖夜のこと
きっと誰よりも分かってるからこそ
邪魔するようなことを美桜は言わない」


「龍、」


ほんとに龍はなんでも私のこと
お見通しだから困る


「紫苑の気持ちは俺も分かるけどね〜
姫は物分かりが良すぎて、このままじゃ
すれ違いになっちゃうよ〜?」


「ずっと思ってたんだけどさ、美桜」


そう言って翠が眼鏡の奥の鋭い目で
私の事を見つめる、いや睨んでるのか?


「ぶっちゃけ美桜は今、誰が好きなの」


ドクンッ


「誰って、そりゃ聖夜だろ……?」


「でもこの様子じゃ、違うんじゃねぇの〜?」


みんなの視線が、痛い


「私が好きだったら、元に戻れるの?私たち。
他の子に構うのやめるの?違うでしょ。

問題は何も解決してない。なにか事情があって
あの時私を裏切ったことはわかってるの
だけどそれをまだ私は全部許せた訳じゃない

お互いにもう気持ちが通じ合ってないこと
気づいてる。だけど離れる程の強さもないし
まだ情に振り回されてるの私たち。」


ごめん、長々話しちゃった と続けて言えば


「ごめん、軽々しく
そうだよなまだお前らの問題は
片付いた訳じゃねえよな」


「姫のことだから総長のこと好きじゃないと
ここに居られない〜とか考えてたら
めんどくせえなと思ってさ〜〜
俺らは総長の女だから傍に置いてるわけじゃない
美桜だからここに置いてんのよ〜?」

紫苑と楓に続いて

「そもそも俺は聖夜が美桜にちゃんと
話してないことが悪いと思ってるんだよね」

と、翠。

「私も聞けてないのよ。
聞く勇気がなくて…」


「でも聞いてないから不安なんでしょ
聖夜が話したがらないことも
美桜のことだから分かってるんだろうし」

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