scarlet


「聞いてみたら?」

と、更には龍まで。
喧嘩になる気しか正直私はしないんだけど


「そう、ね。また聞いてみる
ありがとうみんな」


そう答えるとみんな満足そうに微笑んでくれて


「今日は誰が姫送ってく?
俺が送っていってもいいけど〜?」


と、言い出してくれた楓にお願いして
珍しくふたりで歩く帰り道


「龍ちゃんと最近居ること多かったから
この組み合わせは珍しいな〜」


「楓はあんまり、私と
居たくないのかと思ってたから」


「え?俺そんな態度取ってた?」


「ふふっ、ううん違うくって
ほら私急にみんなと関わるのやめたから
私のことももう信じてくれないかと思って」


自己完結して、距離を取ってた


「理由なしに離れていく奴だなんて
俺思ってねえよ〜?」


そう言って微笑んでふわりと、私の頭を撫でる


「私っ、ごめんなさい、」


「ん、いいよ気にしてないし
そう思う前に俺が気付くべきだった」


ダメだ、また泣いてしまう


「姫〜、なんで泣くの」


笑って私の涙を拭ってくれる


「最近なんか、こういうの弱くて」


困ったような顔をした楓は
続けて爆弾を落とした


「…みんなが聖夜の傍から
離れて欲しくないって思うのはさ
姫の気持ちが唯一無二の聖夜に向いてないと
俺たちの気持ちの行き場がなくなるからなんだよ」


「え?」


「察しのいい姫が俺らの気持ちに
気付いてないはず、ないだろ〜?

特別じゃない女の子を守ったりしないよ
姫だから、美桜だから、俺らも
必死になって守りたいって思うんだよ」


なんとなく、濁して曖昧にしてた私は
きっとずるいと思う。分かってたはず

ただ、


「みんなが特別だって
思ってくれてることは分かってた
だけどそれは、友達に対しても
抱える感情でしょう?」


不確かなフィーリングで彼らの気持ちを
恋心だと思い込めるほどの自信はない


「そうだな〜、友達だって思ってる奴も
そりゃ居るよ?

あー回りくどいな、うん
さっきの気持ちは全部俺の気持ち
あいつらがどうかは分かんねえけど
俺は姫が特別だよ、もちろん女の子として」


「どうして、このタイミング?」


「姫に隙があると思ったからだよ。
今日の聖夜への気持ちを聞いてから
余計になんか焦ってる。」


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