scarlet
「聖夜君の溺愛ぶりはほんとに
昔から変わらないわね~」
ふふっと笑うお母さんのその言葉が
今の私には少し重くて 、
「だれにでも優しいのよ、聖夜は。」
「ほんと、素直じゃないんだから」
と言って嬉しそうに、
リビングに戻っていくお母さん。
ほんとに、聖夜の優しさを
独り占めにはできないの。
その優しささえも、独占してしまいたいと
思えるほどに愛していたのに
「あ、」
過去形になっている気持ちに
気付いてしまって、やっぱり今の
自分の気持ちで向き合うのは良くない。
ちゃんと、彼に伝えなければ。
明日、会える?
と、いうメッセージだけ送って
リビングに戻った。