scarlet


幸い彼等と高校は違うから学校に居る間は安心なのだけど、聖夜はこの辺でも名の知れた人だから昔私と付き合っていたこともみんな知っていて。


心の底から気を許している友達は高校にはいない


中学時代の友達とは今でも仲良くしているし
一人でいることばかりじゃないからいいんだけど


「はあ、もう着いちゃった」


紫苑と電話したあと音楽を聴いていたら
もう校門前に着いていて。


退屈な授業を受けている時間はあまり好きじゃないだけに、雨の日は来る気がなくなる。


おはよーと声をかけてくれるクラスメイトと
他愛もない話をしながらふと、紫苑の言葉を
思い出す。


________聖夜が、お前に会いたがってんだよ



もし本当に、彼が私を必要としていたら
拒めるのかしら。
まだこんなにも私の心は彼に囚われているのに。


そこからはぼーっとしていることが多くて
気がついたらもう終礼のチャイムがなっていた


携帯を開くと、そこには副総長の翠(すい)から
メッセージが入っていて、


【⠀今日紫苑から連絡あったでしょ。
聖夜が今日美桜のこと迎えに行くって。】


と、だけ送られてきていて。
お昼休みから携帯を開いてなかったもんだから
きっともう彼は校門に着いている頃だろう


あぁ、ほんと今日はついてない。


そう思いながら震える手で
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