scarlet
靴を履いて門まで軽く走って向かうと
「っ、」
そこに立っているのはどこか懐かしい大好きだった人で。
ゆっくりと顔を上げてキリッとした瞳で
私をすっと捉える。
「久しぶりだな、美桜」
あぁ、この低い声で呼ばれるのも一年ぶりか
相変わらず腹が立つほど整っている顔だなぁ。
魁星の幹部たちみんなもかっこいいけれど
やっぱり聖夜は一番カッコイイと思ってしまって
「久し、ぶり」
「前髪、乱れてる
走って来るほど俺に会いたかったか?」
そう言って私の前髪を軽く整えて
顔を覗き込んでくる
簡単に自分のペースに持っていくのが得意な
聖夜だから会うのが怖かった、んだけど
何を、ほだされてるんだろ
「馬鹿じゃないの、人待たせるの嫌いなだけよ」
そう言ってもふっと笑って、そうかと
言ったら急に私を抱き締めて
「すげぇ、会いたかった」
「ちょっ、」
こんな学校のすぐそばで。
通っていく人がチラチラこっちを見ながら
何かを言ってるのが分かる
少し離れて顔を上げてみると
どこか悲しげな顔で私を見つめる聖夜
「どうかしたの…?」