scarlet


なんて顔、してんのよ。


「……行くぞ」


そう言って当然のように私の手を握る

「ちょ、離してっ」

思わず聖夜の手を振り払ってしまった


「もう俺のことなんか、嫌いか?」


「そうじゃ、ないの
でも、私がずっと振り回されてる…!!
この一年私に連絡ひとつなかったのにっ」


どうして今更、、
涙で視界が歪んで見えて。
顔を見られたくなくて後ろを向くと


「……美桜こっち向け」


「、やだ」


「ほら、いいから」


そう言って無理矢理私を自分の方に向かせると
私の目をしっかり見て、


「ゆっくりお前と話したい
ここじゃ、なんだから。」


な?と付け加えて連れていかれた場所は


「なつかし、」


2人でよく帰り道に寄ってた
夕日が綺麗に見える海で


「ふふっ、案外聖夜ってロマンチストよね」


こんな所で会っていたのも懐かしいけれど
告白されたのも確かここで、なんだか
笑みが込み上げてくる


「うるせぇ、悪いか」

拗ねてそっぽを向いた聖夜は一年前よりも
幼くなったように思う


「こんな風にしてると、なんだか昔に
戻ったみたい。」


「あぁ、懐かしいな」


「……でももう、あの時と全く同じようには
戻れないのよね」


取り巻く環境や時間が私たちの中の
色んなものを変えていってしまったから、
もう昔の私たちには戻ることなんて
できないことを2人とも分かっていたはず。



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