花はいつなんどきも美しく
◇
仕事が終わって会社を出ると、園田雪が石段に腰かけ、カバンを両手で抱えて夜空を見上げていた。
両手で抱える必要あるのかとか、見上げてる横顔がアホ顔だとか、口を少し開けてるのが妙な色気みたいなものを出してるとか……
とにかくいろいろなことが頭に浮かんだけど、とりあえず。
「……何してるんです」
どうして待っているのかはわかるけど、この言葉以外出てこない。
園田雪は立ち上がると、照れ笑いを見せた。
「話したいことがあるって言っておきながら、時間も場所も決めてなくて……かといって、また仕事の邪魔をすることもできず、岩本さんの仕事が終わるのを待ってました」
……お前は私の彼女か。
「岩本さんは、とても仕事が好きなんですね」
「そのせいであなたに彼氏を取られましたけどね」
棘のある言い方をしながら、園田雪の前を通る。
「そ、それは違います!」
初めて聞いたしっかりとした声に、思わず足が止まった。
振り向くと、まっすぐと私を見てくる園田雪がいた。
「僕とフミ君は、中学の同級生です。僕は……そのときからずっと、彼のことが好きでした」
頬を赤らめる園田雪を見ていたら、私が告白されているように錯覚してしまう。
仕事が終わって会社を出ると、園田雪が石段に腰かけ、カバンを両手で抱えて夜空を見上げていた。
両手で抱える必要あるのかとか、見上げてる横顔がアホ顔だとか、口を少し開けてるのが妙な色気みたいなものを出してるとか……
とにかくいろいろなことが頭に浮かんだけど、とりあえず。
「……何してるんです」
どうして待っているのかはわかるけど、この言葉以外出てこない。
園田雪は立ち上がると、照れ笑いを見せた。
「話したいことがあるって言っておきながら、時間も場所も決めてなくて……かといって、また仕事の邪魔をすることもできず、岩本さんの仕事が終わるのを待ってました」
……お前は私の彼女か。
「岩本さんは、とても仕事が好きなんですね」
「そのせいであなたに彼氏を取られましたけどね」
棘のある言い方をしながら、園田雪の前を通る。
「そ、それは違います!」
初めて聞いたしっかりとした声に、思わず足が止まった。
振り向くと、まっすぐと私を見てくる園田雪がいた。
「僕とフミ君は、中学の同級生です。僕は……そのときからずっと、彼のことが好きでした」
頬を赤らめる園田雪を見ていたら、私が告白されているように錯覚してしまう。