花はいつなんどきも美しく
お姫様抱っこが苦手な私は、悠之介の首に巻きついた。


「こういうところを知ったら、絶対手放せないはずだけどなあ」


余計なことを言いながら、ベッドまで運ばれる。
ソファのときと同じ体勢だけど、さっき以上に心臓の音がうるさい。


耳、首元と肌の見える場所に甘いキスが降ってくる。
自然と服の中に入り、肌を撫でる指。


悠之介が触れるところ全てが、心臓になったみたい。


「本当に、可愛い。前は酔ってて素直に反応してくれたけど、今日みたいに声我慢してるのもいいね」
「う、るさ……い」


悠之介の顔を見れなくて、うつ伏せになる。


この前の時点で私が感じるところを把握したのか、いいところばかり攻めてくる。
背中を向けたのは間違いだったのかもしれない。


次第に声の我慢は出来なくなっていく。


自分の反応してる声なんて聞きたくないのに、悠之介がやめてくれないから、嫌でも音になって耳を撫でる。


「そこ……や……」
「やじゃないだろ?」


抵抗のつもりで言ったが、悠之介には届かなかった。
それどころか、しつこく触ってくる。


なにより、男口調にときめいてる自分に腹が立つ。


「……バカ……」
「煽ってるようにしか聞こえないね」


私の小さな抵抗はあっさり破られ、体の向きを変えられた。
甘いキスが全身に降ってくる。
< 21 / 79 >

この作品をシェア

pagetop