花はいつなんどきも美しく
とにかくさっさと見つけるに越したことはないと思い、足を踏み出す。


「岩本さん!」


愛子と別れると、今一番顔を見たくないし、声も聞きたくない人が奥から現れた。


「岩本さんには資料探しではなく、資料作りをしてほしいんです」
「なくしたデータの、ですか?あの……何を言っているか、わかってます?」


私の頭はコンピューターではない。
莫大なデータをすべて記憶しているわけがない。


これこそ、いじめか嫌がらせだ。


「岩本さんならできます」


その信頼は別のときに見せてほしかった。


「……私がそれをできるとして。もし作っている途中に資料が見つかったらどうするんです。私の努力は無駄になりますよ」


すると、園田雪は周りを見て、私に顔を近づけた。


「見つかることはあり得ないんです。どうやらそのデータ資料を間違えて処分してしまったみたいで」


ごめんなさい、ちょっと何言ってるかわかりません。


「それ、早くみんなに言ってあげたらどうですか。これだけの人数でないものを探すのは時間の無駄じゃないですか」


園田雪は目線を逸らした。


どうしてこれほどプレゼン資料を作った人間をかばうのか、理解できない。
もうすでにその人は怒られているだろうけど、それは自業自得だ。
さらに怒られるのはかわいそうだとか、思うべきではない。
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