花はいつなんどきも美しく
「ミスはミス。隠してもいいことなんてないですよ」
「そう、ですよね……」


なぜあなたが怒られたような顔をする。


「とにかく。みんなの行動に関しては園田さんに任せます。私は指示の通り、データ資料を作成しておくので」


そして私はゴールが遠い仕事に取り組み始めた。





全てが終わったとき、外は完全に真っ暗だった。


もう、デートができる時間ではない。
夕飯を食べに行くとかあるだろうけど、おしゃれな店に行くより、悠之介の店で飲むほうが楽しいし。


せっかくのデートが完全に潰れてしまった。


「岩本さん、今日は本当にありがとうございました」


帰ろうとしたとき、改めて園田雪にお礼を言われた。


「デートだったんですよね。……ママさんと」


そうだけど、なんとなく答えたくなかった。


「……僕ずっと、どうして好きになる人みんな、岩本さんを好きになっているのか、わからなかったんです」


唐突に貶されていないか、これは。


「でも、今日わかりました」


デートだったのにその約束を蹴って仕事していた私を見て、何がわかったというんだろう。


「岩本さんは困っている人を無視できない、優しい人なんですね」
「……仕事バカって思わなかったんですか?」
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