花はいつなんどきも美しく
楽しみにしていたデートよりも仕事を優先するような、バカだって。
「それはまあ、少しは思いましたけど……」
素直だな。
「でも、岩本さんがいなければ終わらなかったので、今日に限っては、仕事を優先してくれてありがとうございました」
改めてお礼を言われると変な気分だ。
「それで、デートの邪魔をしてしまったお詫びというか、今日のお礼というか……これ、よかったらどうぞ」
園田雪は二枚のチケットを渡してきた。
「これは?」
「水族館のチケットです」
それは見ればわかります。
聞きたいのはそういうことじゃない。
「真司さんを誘ってみたんですけど、岩本さんが好きだから気持ちには応えられないとはっきり断られてしまいまして」
なんて受け取りにくいものを渡してくれるんだ。
これなら何か聞くんじゃなかった。
「……お詫びでもお礼でもないですよね、これ」
「まあ嫌がらせしたいって気持ちが、ないわけでもないですけど」
ですよね。
好きな人の好きな人にすべてを説明したうえでこれを渡してくるなんて、嫌がらせでしかないだろう。
「自分で使うか、他の人にあげてください。本当、使いにくいので。では、お疲れさまでした」
チケットを返すと、私は会社を出た。
「それはまあ、少しは思いましたけど……」
素直だな。
「でも、岩本さんがいなければ終わらなかったので、今日に限っては、仕事を優先してくれてありがとうございました」
改めてお礼を言われると変な気分だ。
「それで、デートの邪魔をしてしまったお詫びというか、今日のお礼というか……これ、よかったらどうぞ」
園田雪は二枚のチケットを渡してきた。
「これは?」
「水族館のチケットです」
それは見ればわかります。
聞きたいのはそういうことじゃない。
「真司さんを誘ってみたんですけど、岩本さんが好きだから気持ちには応えられないとはっきり断られてしまいまして」
なんて受け取りにくいものを渡してくれるんだ。
これなら何か聞くんじゃなかった。
「……お詫びでもお礼でもないですよね、これ」
「まあ嫌がらせしたいって気持ちが、ないわけでもないですけど」
ですよね。
好きな人の好きな人にすべてを説明したうえでこれを渡してくるなんて、嫌がらせでしかないだろう。
「自分で使うか、他の人にあげてください。本当、使いにくいので。では、お疲れさまでした」
チケットを返すと、私は会社を出た。