花はいつなんどきも美しく
「へえ」


聞いたくせに。
なんだ、その興味なさげな返事は。


文句を言ってやろうとしたら、新たに客がやって来た。


「いらっしゃい……あら、あなた」


そこに立っているのは、若い女性だ。
大学生くらいだろうか。


これほど可愛い女性と知り合いだったとは。


「合コンの」


合コン?
そんなものに参加してたのか、悠之介は。


「いや、えっと……」


彼女は戸惑いの表情を見せる。


「ごめんなさい、それが印象的だっただけよ。千夏さん、よね。恋愛観に賛同してくれた」


名前を呼ばれ、その子は頬を赤らめた。


いや待て。
話が見えない。


「早速浮気かな?」
「ちょっと黙ってて」


小声でからかってくる愛子に言い、二人の様子を見る。


その子が空いていたカウンター席に座り、悠之介は水を出す。


「その……あのときの結果が気になって……」
「あのとき?」


悠之介を初め、会話を聞いている全員の頭に疑問符が浮かぶ。


「告白、というか……追いかけっこ、というか」


あのときの子か!


悠之介に好きな人がいるって知ったあの日の。
でもあのときは後ろ姿しか見えなかったから、顔を見てもわからなかったんだ。
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