花はいつなんどきも美しく
ほんの数時間で一体なにがあった。
「……愛子はなんとも思わないの?」
「なんとも思わないっていうか……見飽きちゃった」
愛子は退屈そうに言う。
だから、もうどうでもいい、と。
愛子らしくて、笑ってしまう。
「あ、そうだ。午前中ずっと雪君のこと見てたら気付いたんだけどさ。雪君、たまに聡美のこと見てたんだよね」
仕事もせずにずっと見ていれば、飽きもするだろう。
そして、やっぱり私の存在に気付いていたらしい。
あの男を殴り飛ばしてすぐに家を飛び出したから、顔は覚えられていないと思ったけど、そこはお互い様か。
でもなにも言ってこないから、このまま気付かないふりをしてくれたら……
「あの……」
などという私の願いは、あっさりと崩れ去った。
園田雪は両手で紙を持ち、恐る恐る声をかけて来た。
「はい」
パソコンから手を離し、園田雪と向き合う。
「さっき提出してもらった資料なんですけど、ここ……データが違いませんか?」
園田雪から資料を受け取ると、彼は指で場所を示した。
その前後を確認すると、確かに間違っている。
「うわ、珍し。聡美でもミスとかするんだ」
愛子は私が受け取った資料を盗み見ていた。
「人間ですから。すみません、すぐに直します」
パソコンに再び向き合おうとしたとき、視界の端に何か言いたそうな表情をした園田雪がいた。
「……愛子はなんとも思わないの?」
「なんとも思わないっていうか……見飽きちゃった」
愛子は退屈そうに言う。
だから、もうどうでもいい、と。
愛子らしくて、笑ってしまう。
「あ、そうだ。午前中ずっと雪君のこと見てたら気付いたんだけどさ。雪君、たまに聡美のこと見てたんだよね」
仕事もせずにずっと見ていれば、飽きもするだろう。
そして、やっぱり私の存在に気付いていたらしい。
あの男を殴り飛ばしてすぐに家を飛び出したから、顔は覚えられていないと思ったけど、そこはお互い様か。
でもなにも言ってこないから、このまま気付かないふりをしてくれたら……
「あの……」
などという私の願いは、あっさりと崩れ去った。
園田雪は両手で紙を持ち、恐る恐る声をかけて来た。
「はい」
パソコンから手を離し、園田雪と向き合う。
「さっき提出してもらった資料なんですけど、ここ……データが違いませんか?」
園田雪から資料を受け取ると、彼は指で場所を示した。
その前後を確認すると、確かに間違っている。
「うわ、珍し。聡美でもミスとかするんだ」
愛子は私が受け取った資料を盗み見ていた。
「人間ですから。すみません、すぐに直します」
パソコンに再び向き合おうとしたとき、視界の端に何か言いたそうな表情をした園田雪がいた。