冒険者の王子は 旅と恋する
ぱちん、と耳元で
変化の術が解けたのがわかった。
あ、魔力が
いつものに戻る。
俺、冒険者チェース。
もともと、フランチェスコ第二王子っていう
面倒な身分だったんだけどさ
冒険者やりたくて
飛び出したわけなんだけど、
王族ってだけあって
有り余る「光の魔力」ってのが
目立ちすぎるわけよ。
この世界では
魔力と髪色は直結する。
俺の『色』は白に近い金髪。銀髪?
なんか、ラメ入ってる?
みたいな。
とにかく綺麗だが目立つ。
魔力も光の魔力っていうだけあって
魔法を使うと割とキラキラすんだよな。
王子してる時は意識的に
キラキラを飛ばして『ここに王子いますよー』みたいな
感じにしてた。
いつも、キラキラしてたら、
ほら、こうやって姿替えたとき印象が変わりすぎてバレないだろ?
実際
冒険者チェースの姿はフランチェスコ王子だった時と変わらない。
髪色が茶色っぽくなって、
目の色が気持ちくすんだくらいだ。
とりあえず、その目立つ抑えるために
賢者バームス特製の魔力封じの耳飾りを付けてたってわけ。
それを
外す。
あ、ダイナラスさんにも、バレるじゃん。
と思ったけど、もう遅いよな。
「----っ。
フラン・・チェスコ王子。」
騎士フィロスが立ち上がって
腰を落として
見慣れた騎士の礼を取る。
「え?えぇ?」
ダイナラスさんがあわてる。
「楽にせよ。騎士フィロス。
公式な訪問ではないし・・・」
久しぶりに、「王子様のしゃべり方」して
口の端を少し引くだけの静かな笑みに魔力を乗せてしゃべる。
めんどぃ。
騎士フィロスが頭を深く下げる。いやいや、楽にしろっていったじゃーん。
「あー、楽にしろって!
俺、もう「王子様」やる気ねぇし。」
にかっと。笑って見せる。
騎士フィロスは
「は?」と怪訝な顔をした。
ウルーチェ先生は、楽しそうに笑っているだけだし。
「てかさ、
1つ聞いていい?」
「っ、仰せのままに。」
「騎士フィロスってさ。
なんで、投獄されてんの?」
・・・
沈黙が流れた。
え?なに?
皆に 見られてるけど、
え?俺のせい?