冒険者の王子は 旅と恋する



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この世界の光の術者は
国に保護される。
もちろん、自由気ままに過ごすことも可能だが、
基本的に「光の術者」の認定を受けると
仕事を与えられる。
各種イベントの参加や、
魔力の吹き溜まりみたいなとの浄化。
あとは、国内の結界強化・・・。

もちろん、俺もフランチェスコ第二王子で王宮にいたときは光の術者として『仕事』を与えられた。俺の魔力は、結界強化にも使われるけど
主なものは、兄であるアレッサンド第一王子の
魔力制御のための結界。それに伴う魔石の作成だな。

兄は俺とまったくの正反対。
真面目だし。
正統派のイケメンだし。
魔力も『黒』だし。

黒はめちゃ強いけど暴走しがちなんだよな。
調子によっては周りの人の魔力とか吸収するし。
だから、常に結界張ってるし、
周りの物も光の魔石を常備してる。

それを作成してた。

あ、出ていく前にすげーーーいっぱい作っといたから
しばらくは大丈夫だろ。


んで、
王族に近い奴しか知らないんだけど
『三柱』と言われている家への
光の魔力の譲渡だな。

『三柱』は国にとっても重要な役目をしている家で、
あぁ、そういえば・・・・

フィロスもその『三柱』の『カシン家』出身だ。



ぼんやり、そんなことを思い出して、
かつて、俺の隣で頼りなさそうなふんにゃりした笑顔をした
騎士フィロスを思い出しながら、
目の前の彼を、見つめた。





「・・・え?誘拐?
 第二王子、って俺の??」

そんなのあったっけ?

騎士フィロスの罪は
王族の誘拐計画。
誘拐未遂、障害未遂、窃盗。
細かく言うともっとあるらしいが、
とりあえず、俺の誘拐未遂っていうのが大きいらしい。



まじかーー。

マジで知らんかったわ。
ってか、きっと周りが気を使って黙ってたんだろうな。
そもそも、フィロスは家庭の事情で
領地に帰った。みたいな話だったし。


「・・・・・・はい。申し訳ありません。
 自分勝手な私利私欲に溺れ・・・」

「あー、いいって。
 そんな定型文の謝罪。
 お前は、お前の信じることをやって
 俺を誘拐しようとしたんだろ?」

それは別にいいんだけど。
現に、俺誘拐されてないし。


「ふふふ。簡単に許して、いいのかい?
 チェース・・いや、フランチェスコ王子?」

ウルーチェ先生が挑発するように言うけど・・・

「ていうか、過保護過ぎない?
 俺 なんでこんなこと知らされないんだ?
 騎士フィロスが『裏切った』なんて
 初めて知ったし。今、知るほうが衝撃なんですけど。」

ちょっと、
拗ねるよ。

「そもそも、こいつが、お金めあてーとか、
 光の魔力を独占したい―とか、
 そいういう軽い理由で誘拐しようとするわけないし
 まぁ、何かしらの理由があったんだろ?」

別に、許すとかじゃないな。

てか、今知ったしね。



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