冒険者の王子は 旅と恋する
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この世界の光の術者は
国に保護される。
もちろん、自由気ままに過ごすことも可能だが、
基本的に「光の術者」の認定を受けると
仕事を与えられる。
各種イベントの参加や、
魔力の吹き溜まりみたいなとの浄化。
あとは、国内の結界強化・・・。
もちろん、俺もフランチェスコ第二王子で王宮にいたときは光の術者として『仕事』を与えられた。俺の魔力は、結界強化にも使われるけど
主なものは、兄であるアレッサンド第一王子の
魔力制御のための結界。それに伴う魔石の作成だな。
兄は俺とまったくの正反対。
真面目だし。
正統派のイケメンだし。
魔力も『黒』だし。
黒はめちゃ強いけど暴走しがちなんだよな。
調子によっては周りの人の魔力とか吸収するし。
だから、常に結界張ってるし、
周りの物も光の魔石を常備してる。
それを作成してた。
あ、出ていく前にすげーーーいっぱい作っといたから
しばらくは大丈夫だろ。
んで、
王族に近い奴しか知らないんだけど
『三柱』と言われている家への
光の魔力の譲渡だな。
『三柱』は国にとっても重要な役目をしている家で、
あぁ、そういえば・・・・
フィロスもその『三柱』の『カシン家』出身だ。
ぼんやり、そんなことを思い出して、
かつて、俺の隣で頼りなさそうなふんにゃりした笑顔をした
騎士フィロスを思い出しながら、
目の前の彼を、見つめた。
*
「・・・え?誘拐?
第二王子、って俺の??」
そんなのあったっけ?
騎士フィロスの罪は
王族の誘拐計画。
誘拐未遂、障害未遂、窃盗。
細かく言うともっとあるらしいが、
とりあえず、俺の誘拐未遂っていうのが大きいらしい。
まじかーー。
マジで知らんかったわ。
ってか、きっと周りが気を使って黙ってたんだろうな。
そもそも、フィロスは家庭の事情で
領地に帰った。みたいな話だったし。
「・・・・・・はい。申し訳ありません。
自分勝手な私利私欲に溺れ・・・」
「あー、いいって。
そんな定型文の謝罪。
お前は、お前の信じることをやって
俺を誘拐しようとしたんだろ?」
それは別にいいんだけど。
現に、俺誘拐されてないし。
「ふふふ。簡単に許して、いいのかい?
チェース・・いや、フランチェスコ王子?」
ウルーチェ先生が挑発するように言うけど・・・
「ていうか、過保護過ぎない?
俺 なんでこんなこと知らされないんだ?
騎士フィロスが『裏切った』なんて
初めて知ったし。今、知るほうが衝撃なんですけど。」
ちょっと、
拗ねるよ。
「そもそも、こいつが、お金めあてーとか、
光の魔力を独占したい―とか、
そいういう軽い理由で誘拐しようとするわけないし
まぁ、何かしらの理由があったんだろ?」
別に、許すとかじゃないな。
てか、今知ったしね。