冒険者の王子は 旅と恋する
「もうしわけ・・・」
騎士フィロスが・・・涙を流した。
って、おいおい。
えーー?今のどこに泣くポイントがあるの?!
って焦って後ろ見たら、
ダイナラスさんもうっすら涙ぐんでるし。
ジョイルは俺と同じで混乱中だ。
顔に出さないようにしてるけど、
青ざめてるぞ。
いい大人が号泣は・・・こまる。
なんて言えばいいのか・・・
「衝撃だったのは確かだけど、
騎士フィロスが、騎士の心よりも国よりも
何よりも大切にしたいことがあって、
それで 俺を手に入れようとしたんだろう?」
まぁ、それが犯罪だったわけだけどさ。
なんっていうの?
冒険者やりたいから、家出!!とか言って出てきた俺には
偉そうなこといえねぇって。
過保護な周りが
そんなアクシデント隠してるから
知らなかったしな!!
「フ フランチェスコ様っ・・・申し訳」
げ、余計 泣いた。
なんで?!
おぉい。ウルーチェ先生!俺、困ってますけど!
ウルーチェ先生は、
ふわりと優しい声を出す。
「騎士フィロスよ。すべての罪をかぶるのは
男らしいが・・・それが「騎士」であったお前のケジメじゃろうが
・・・・・もう、理由を話しもいいじゃろ?」
「-----ウルーチェ様・・・私は・・・
----」
たっぷり、
沈黙。
体感で五分ぐらい。
実質一分ぐらいだろうけどさ。
静かな空間で
騎士フィロスのすすり泣く声しか聞こえない。
え、どうしよう。
妙な空気感で、俺からはしゃべれねぇよ。
と思ったら
意を決したように騎士フィロスは顔をあげた。
イケメンは号泣しても
イケメンっすね。うらやまっす。
俺も、一応整ってんだけどなー
なんて、どうでもいいことを思う。
「私は、リンキー・ティ教団を・・・
知っております。
信者、というわけではございませんが
命を・・・助けられた。といっても過言ではありません。」
ひゅっと、
後ろに控えているダイナラスさんが息をのんだ。