冒険者の王子は 旅と恋する



リンキー・ティ教団。

光の魔力こそがすべて。
光の魔力があれば
この世は すべてうまくいく。

光よ。ここにあれ。

みたいな、
光の魔力 絶対主義。
みたいな教団。

なんっていうか、カルト的な宗教団体。


・・・・あー、たしか
俺が、第二王子のときに 何度も面会申込みあったなぁ。
そして、護衛騎士ビラットが
絶対に、話を聞くな、絶対にかかわるなって言っていた
ブラックリストの上位の団体だな。

まぁ、信仰の自由だし、
別に信者だったらダメってことはないけど・・・

信者じゃないし、『知ってる』だけだったら
別に、どうってことないんじゃ・・・?

ああーーー、ちがうな。
ウルーチェ先生も、ダイナラスさんも苦い顔をしてるから
そういうことじゃないんだろうな。

俺に知らされていないけど、
過激派?



「・・・・・フィロス。
 やっぱり、か。」

ダイナラスさんが低い声を出す。

フィロスは困ったように笑う。


やっぱり?
ってことは、隠してたってこと?


「-----。あの日。
 あの時、フランチェスコ王子が・・・
 僕に、「騎士フィロスは僕の味方か。」と聞かれたときに
 味方ですと答えた、あの日から・・・
 僕は・・・・あなたを守ると決めたのです。」





フィロス=カシン
彼は見事なスノー・レッドと言われるピンク色の髪であった。

髪の色からおおよその『力』が判断できるが
綺麗なパステルカラーであるピンクは
そのかわいらしさと裏腹に
豪炎を扱える素質をもつ『火』の最高位である。


フィロスはカシン家の二番目の子という
認識だが、本当は三番目である。

出産時、双子であったが
先に生まれた子はもう既に息を引き取っており、
次に生まれたフィロスが
その子の持つべきであったであろう魔力も宿していた。

ゆえに、魔力も強く暴走も激しかった。
しかし、そこは 何代も高位レベルの騎士や魔術師を輩出している
カシン家である。
しっかり、魔力コントロールをおしえ、
両親も、四つ上の兄も優しく
たっぷりの愛情を注いでくれすくすくと育った。


ただ、問題が一つ。


カシン家に生まれる子には
『命石』と呼ばれる
自分だけの宝石をもって生まれる。

いつもそれを身近において、それに魔力をためる。
そうすることで自分を守る。

それに魔力が満ち溢れていないと
自分自身も、調子を崩す。

まさに、命を分けた石。


その、石が
フィロスは二人分であった。
通常、本人が亡くなってしまったら
その石も輝きをなくし
砕け散る。

しかし、出産時に亡くなったフィロスの片割れの子の石は
砕けることなく、フィロスの持っていた石と共鳴し
くっついたのだ。

ゆえに、フィロスが常に大量の魔力を
その石に注がないといけないのだった。
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