冒険者の王子は 旅と恋する
*
魔力を命石に、取られる。
しかし 何かのきっかけで
魔力が暴走して放出しすぎる。
で、魔力が欠乏。
魔力の回復は
光の術がよく効くというのが
一般的だ。
同じ系統の魔力でも回復するが
微妙に魔力の質や色が違うから。
いくら、カシン家でも
なんども何度も光の術者の派遣を
依頼することはできない。
家族の回復術や、光の石だけでは、
回復できないくらい
フィロスの魔力は高かった。
そこで、
接触してきたのが
リンキー・ティ教団であった。
当時はまだリンキー商会と名乗っており、
良質な魔法石や道具などを取り扱っている
一般的な商会であった。
一度に、回復の光石を購入するカシン家はいいお得意様であった。
いつものように
大量の 商品とともにやってきた彼らの隣には、
かわいらしい女の子が一緒だった。
五歳ぐらいの幼女出会った彼女は
「あなたが、双子命石の「騎士フィロス」ね?」
と、にっこり笑いながら問いかけた。
フィロスは、当時10歳。
幼少期よりは魔力コントロールもできるようになり
寝込むことも少なくなってきていたが
まだまだ、回復魔法や光石の力無しでは
生活はできないほどの状態であった。
その彼に向かって、「騎士」
そして、家族とその近いメイドや執事しかしらない、
しかも「黙秘契約」の魔法までかかっている
フィロスの『双子命石』のことを、さらりと告げた幼女。
「私は、夢見の巫女よ。
そうね。聖女 でもいいわ。
あなたのこと、知ってるし、わかるわ。
助けてあげる。」
ふふ。と、ほころぶように
愛くるしく笑う。
白いローブを身にまとっているが、髪の毛は灰色である。
黒の魔力に特化できなかったのか、
それとも光の魔力が高いのか
よくわからない。そんな 異質な幼女であった。
それは、両親も一緒だったようで
不信感をあらわにしていたが、
信頼して 取引もあるリンキー商会の子だというので
話を聞く。
「私は、夢見といって
ある程度の道しるべが見えるの。
ね。騎士フィロスは
その暴走を抑えたいでしょう?
貸してあげるわ。私の精霊。」
彼女は若干五歳にして
精霊を従えていた。
精霊と『奴隷契約』していたのだ。
「石の半分に精霊を閉じ込めたら
安定するわ。」
そういって、彼女はフィロスの石に
精霊を束縛し、拘束し、『閉じ込めた』
瞬間、魔力が安定するのがわかった。
ぶわっと、本来の力がみなぎる。
両親も 涙を流しながら喜んだ。
当時、兄は学院の寮に入っていたが、
手紙でそのことを伝えると、
ものすごく喜んでくれた。
フィロスがようやく普通の子供とし
可能性と成長が歩める と思ったのだ。
それからの、リンキー商会の対応は実に不可解であった。
通常の、光石と同等の金額だけを請求して、
それから、一切 連絡も
取れなくなった。