冒険者の王子は 旅と恋する
*
妙なざわつきと、不安を残したものの、
リンキー商会とはすっかり疎遠になった。
リンキー商会とは一切のかかわりが無くなったとはいえ
最低限の情報だけは
カシン家にも入っていた。
商会を辞めて、
光の魔力をたたえる教団になった。とか、
『夢見の巫女』といっていた幼女はそこの最高指導者であるとか。
巫女とか、聖女とか
女神とか 彼女を絶賛する信者が増えているとか。
フィロスの体調を整えた。という恩義はあるものの
カシン家もその教団は あまりにも胡散臭く、
不可解で 真意はつかめない。
接触をさけ、
干渉をさけていた。
接触があったのは、
フィロスが、「騎士フィロス」となったあの日。
*
「あら。覚えているのね。
やだ、怖い顔。
ふふふ。ほら やっぱり騎士になったのね。
ね。今更だけど 1つだけ、お願いがあるの。」
なぜ、騎士の練習場に向かう廊下に
彼女が・・・?
あの幼かった頃から成長しているものの、
不可解な笑顔と、
灰色の印象的な髪は変わらない。
だいたい10歳前後の少女になっている彼女。
「やだ、大丈夫よ。
べつに、借りを返せとかじゃないし。
精霊を返せ、とかじゃないし。
そんな低級精霊いらないわ。」
ころころと笑う。
笑顔だけ見るとかわいらしい。
「あのね。『第二王子』に忠誠を誓わないでくれる?」
は??
あまりの言葉に
思わず、フィロスは剣を構えそうになる。
というか、新人の騎士は配属先さえまだ決まっていたない。
王族の護衛騎士になるには
相当の鍛錬と力が必要で
まだ、そこまで見据える余裕はない。
「あら、やだ。そんな顔して。
第二王子の護衛騎士になるわよ。
だって、あなた
双子命石の騎士フィロス。でしょう?
でも、出来たら・・・第二王子に騎士の祈りを
捧げないでほしいわ。」
彼女は、ふふ、ときれいに笑った。
10歳前後の幼女であるが
妖艶な笑みであった。
「ほんとは、第二王子付きになるのをやめてほしいんだけど。
ま、そこまで 干渉するのは無理よね。
とうか、第二王子自体は大したことないくせに
騎士が厄介なのよねぇ。「影」も強いし。
フィロスの火炎の技と、ビラットの火の結界が
コンビネーションプレイで厄介なのよね。」
ぶつぶつ、彼女はつぶやいている。
「----断る。と言ったら?」
「ふふ。別に?」
何でもない。といった調子に笑う少女。
「ただ、
あなたが第二王子につこうが、つかまいが
私の『計画』に狂いはないわ。
ただ、あなたに「第二王子に忠誠を誓ってほしくない」だけ
と伝えることに意味があるの。」
くすくす と笑う。
「第二王子の光の魔力はとても魅力的だし 危険だから
全部吸い取ってしまいたいわ。
でも、そうしちゃうと、面白くないし
彼も手に入らないし・・・」
何をいって・・・
不可解な少女の言動に
背中に汗が伝う。
「あら、やだ、
しゃべりすぎちゃったわ。
ふふふ。騎士フィロス。あなた、そんな顔もできるのね。
笑っていないほうが素敵ね。勇ましく見えるわ。」
ひらり、と
手を振って、彼女は廊下を後にした。
瞬間、しゅわ、っと
結界のようなものが解かれたのがわかる。
どさ、っと
騎士フィロスは膝から崩れ落ちた。
のちに考えると、
不可解な未知数なものに対する・・・恐怖であり、
この日から、騎士フィロスは常に穏やかな笑顔の仮面をつけるようになったのである。
妙なざわつきと、不安を残したものの、
リンキー商会とはすっかり疎遠になった。
リンキー商会とは一切のかかわりが無くなったとはいえ
最低限の情報だけは
カシン家にも入っていた。
商会を辞めて、
光の魔力をたたえる教団になった。とか、
『夢見の巫女』といっていた幼女はそこの最高指導者であるとか。
巫女とか、聖女とか
女神とか 彼女を絶賛する信者が増えているとか。
フィロスの体調を整えた。という恩義はあるものの
カシン家もその教団は あまりにも胡散臭く、
不可解で 真意はつかめない。
接触をさけ、
干渉をさけていた。
接触があったのは、
フィロスが、「騎士フィロス」となったあの日。
*
「あら。覚えているのね。
やだ、怖い顔。
ふふふ。ほら やっぱり騎士になったのね。
ね。今更だけど 1つだけ、お願いがあるの。」
なぜ、騎士の練習場に向かう廊下に
彼女が・・・?
あの幼かった頃から成長しているものの、
不可解な笑顔と、
灰色の印象的な髪は変わらない。
だいたい10歳前後の少女になっている彼女。
「やだ、大丈夫よ。
べつに、借りを返せとかじゃないし。
精霊を返せ、とかじゃないし。
そんな低級精霊いらないわ。」
ころころと笑う。
笑顔だけ見るとかわいらしい。
「あのね。『第二王子』に忠誠を誓わないでくれる?」
は??
あまりの言葉に
思わず、フィロスは剣を構えそうになる。
というか、新人の騎士は配属先さえまだ決まっていたない。
王族の護衛騎士になるには
相当の鍛錬と力が必要で
まだ、そこまで見据える余裕はない。
「あら、やだ。そんな顔して。
第二王子の護衛騎士になるわよ。
だって、あなた
双子命石の騎士フィロス。でしょう?
でも、出来たら・・・第二王子に騎士の祈りを
捧げないでほしいわ。」
彼女は、ふふ、ときれいに笑った。
10歳前後の幼女であるが
妖艶な笑みであった。
「ほんとは、第二王子付きになるのをやめてほしいんだけど。
ま、そこまで 干渉するのは無理よね。
とうか、第二王子自体は大したことないくせに
騎士が厄介なのよねぇ。「影」も強いし。
フィロスの火炎の技と、ビラットの火の結界が
コンビネーションプレイで厄介なのよね。」
ぶつぶつ、彼女はつぶやいている。
「----断る。と言ったら?」
「ふふ。別に?」
何でもない。といった調子に笑う少女。
「ただ、
あなたが第二王子につこうが、つかまいが
私の『計画』に狂いはないわ。
ただ、あなたに「第二王子に忠誠を誓ってほしくない」だけ
と伝えることに意味があるの。」
くすくす と笑う。
「第二王子の光の魔力はとても魅力的だし 危険だから
全部吸い取ってしまいたいわ。
でも、そうしちゃうと、面白くないし
彼も手に入らないし・・・」
何をいって・・・
不可解な少女の言動に
背中に汗が伝う。
「あら、やだ、
しゃべりすぎちゃったわ。
ふふふ。騎士フィロス。あなた、そんな顔もできるのね。
笑っていないほうが素敵ね。勇ましく見えるわ。」
ひらり、と
手を振って、彼女は廊下を後にした。
瞬間、しゅわ、っと
結界のようなものが解かれたのがわかる。
どさ、っと
騎士フィロスは膝から崩れ落ちた。
のちに考えると、
不可解な未知数なものに対する・・・恐怖であり、
この日から、騎士フィロスは常に穏やかな笑顔の仮面をつけるようになったのである。