冒険者の王子は 旅と恋する
*
それからの騎士フィロスは
怖いほどに順調であった。
もともと魔力も強く、
剣術にもたけていた。
火の魔力というのも、攻撃と相性がいい。
あっという間に、
第二王子付きの『護衛騎士』へと
出世していった。
もともと、整った顔立ちで
王族への覚えもめでたいカシン家の子息である。
常に、おだやかな
緊張感のない優しげな笑顔は
女性を引き付けた。
笑っていないほうが凛々しくて素敵よ。
なんて言う、
あの少女の言葉を打ち消すように、
人当たりの良い奴 という印象になっていった。
それなりにモテて、
それなりの経験もした。
その間も、リンキー・ティ教団の
噂は絶えない。
第二王子が光の魔力だからであろう
光をたたえる教団の王子への面会申込みや
あらゆる手で接触を図ってくる。
騎士フィロスを使えばいいのに、
そこへの接触は不自然なくらい ない。
逆に、そこが恐ろしかった。
そして、光を使える者たちの
囲い込みだ。
「光の魔力」を主としてつかう術者は
基本的に国が保護し、
国に仕える。
しかし、少しだけ使えるという術者も多い。
光の術、自体は珍しい適正ではない。
フランチェスコ第二王子が
光の魔力が多いので珍しいだけで、
騎士フィロスも、
火の魔力が強いが、やろうと思えば「光の術」を使える。
夜、室内を照らす「光の球」も、あれも光の術だ。
騎士フィロスでさえあの光の球を同時に3こぐらいなら出来る。
ちなみに、
「光の王子」という異名を持ち、
たぐいまれなる光の魔力を持っているといわれている
フランチェスコ第二王子なら、
光の球であれば、同時に100この発生は余裕であろう。
貴重だが、
手に入りにくいというわけでもない
光の魔術や魔力、魔石。
そういったモノが
どんどん、リンキー・ティ教団が 囲い込んで行っているのだ。
第二王子の周辺も
騒がしい。
見目も麗しく、にこやかな柔らかい印象な王子は
縁を結びたい貴族やら、その魔力をあやかりたい賊やら
いろんな奴らを引きこむ。
一層、警備や結界を強化されているが、
盗聴や触れると魔力を強奪するような違法魔石など、
王子の周辺では
よく見つかる。
そんな、いつもの護衛を
淡々と過ごす日々であった。
あの日、
フランチェスコ王子が、
まっすぐ、騎士フィロスを見て訪ねたのだ。
*
「なぁ、騎士フィロス。
ちょっと、聞きたいんだけど。
君は、僕の味方?」
「え?はい。
そうですよ。」
にこり。
護衛騎士ですから。
きちんと お仕事いたします。
かわいらしい子供の質問だ。
そんなことを思いながら、
まっすぐ、第二王子を見つめ返した。
王子は、一瞬、手を差し伸べる。
フィロスの胸元あたりで
ぎゅっと、何かを我慢するかのように
差し出した手を握りしめて、
すっと手を下げた。
「あーー・・・うん。
そ、そっか。・・・ありがと。
-----
-------わかった。」
フランチェスコ王子は、
ふっと、少し目をそらして、
納得したように、 悲しげに笑った。
がつん。と 頭を殴られたような衝撃であった。
それからの騎士フィロスは
怖いほどに順調であった。
もともと魔力も強く、
剣術にもたけていた。
火の魔力というのも、攻撃と相性がいい。
あっという間に、
第二王子付きの『護衛騎士』へと
出世していった。
もともと、整った顔立ちで
王族への覚えもめでたいカシン家の子息である。
常に、おだやかな
緊張感のない優しげな笑顔は
女性を引き付けた。
笑っていないほうが凛々しくて素敵よ。
なんて言う、
あの少女の言葉を打ち消すように、
人当たりの良い奴 という印象になっていった。
それなりにモテて、
それなりの経験もした。
その間も、リンキー・ティ教団の
噂は絶えない。
第二王子が光の魔力だからであろう
光をたたえる教団の王子への面会申込みや
あらゆる手で接触を図ってくる。
騎士フィロスを使えばいいのに、
そこへの接触は不自然なくらい ない。
逆に、そこが恐ろしかった。
そして、光を使える者たちの
囲い込みだ。
「光の魔力」を主としてつかう術者は
基本的に国が保護し、
国に仕える。
しかし、少しだけ使えるという術者も多い。
光の術、自体は珍しい適正ではない。
フランチェスコ第二王子が
光の魔力が多いので珍しいだけで、
騎士フィロスも、
火の魔力が強いが、やろうと思えば「光の術」を使える。
夜、室内を照らす「光の球」も、あれも光の術だ。
騎士フィロスでさえあの光の球を同時に3こぐらいなら出来る。
ちなみに、
「光の王子」という異名を持ち、
たぐいまれなる光の魔力を持っているといわれている
フランチェスコ第二王子なら、
光の球であれば、同時に100この発生は余裕であろう。
貴重だが、
手に入りにくいというわけでもない
光の魔術や魔力、魔石。
そういったモノが
どんどん、リンキー・ティ教団が 囲い込んで行っているのだ。
第二王子の周辺も
騒がしい。
見目も麗しく、にこやかな柔らかい印象な王子は
縁を結びたい貴族やら、その魔力をあやかりたい賊やら
いろんな奴らを引きこむ。
一層、警備や結界を強化されているが、
盗聴や触れると魔力を強奪するような違法魔石など、
王子の周辺では
よく見つかる。
そんな、いつもの護衛を
淡々と過ごす日々であった。
あの日、
フランチェスコ王子が、
まっすぐ、騎士フィロスを見て訪ねたのだ。
*
「なぁ、騎士フィロス。
ちょっと、聞きたいんだけど。
君は、僕の味方?」
「え?はい。
そうですよ。」
にこり。
護衛騎士ですから。
きちんと お仕事いたします。
かわいらしい子供の質問だ。
そんなことを思いながら、
まっすぐ、第二王子を見つめ返した。
王子は、一瞬、手を差し伸べる。
フィロスの胸元あたりで
ぎゅっと、何かを我慢するかのように
差し出した手を握りしめて、
すっと手を下げた。
「あーー・・・うん。
そ、そっか。・・・ありがと。
-----
-------わかった。」
フランチェスコ王子は、
ふっと、少し目をそらして、
納得したように、 悲しげに笑った。
がつん。と 頭を殴られたような衝撃であった。