冒険者の王子は 旅と恋する

騎士フィロスを見つめて
思わず、苦笑する。

「逃げるのは楽だが・・・
 苦しいだろ?」

言葉に魔力が乗ってキラキラとはじける。

こいつの気持ちはわかんねぇけど、
罪の意識が積み重なって考えた結果この形になったんだろうけどさ。

こういう責任の取り方って、
単純に俺の好みじゃない。
俺、結構 騎士フィロスと打ち解けてたと思うのに
急にいなくなるしさぁ~・・・

・・・ん?一番はこれかな?
やべ、俺が一番子供っぽいじゃん。


っていうかさーーー
ウルーチェ先生もひどいって。
なんで このタイミングで会わせるんだ?

もう、残り少ない命だから?
そのために
俺の逃亡を助けた?

あぁ!!! あり得る。

このウルーチェ先生の手のひらで転がされる感じ。

っていうかさー、
切羽詰まった、余命を静かに送っている罪人に
俺「ゆるさない」とか、
なかなか言えないよ。

ウルーチェ先生・・・騎士フィロスの罪悪感を減らすためだけに俺を連れてきたんだろうな~。別にいいけど。そーいえば、騎士フィロスもかわいがってましたね、ウルーチェ先生。

っていうか、ウルーチェ先生・・・
このことに気が付いていたんじゃないの?


気が付いて・・・放置していたんじゃないの?

何のために?


あ、やべ、深読みしすぎかな。
ウルーチェ先生も賢者バームス先生も
「楽しい」が一番の快楽主義だしなぁ。


ちらり、とウルーチェ先生を見る。



「・・・フランチェスコ王子。
 確かに、 私の都合で 今 このタイミングで
 騎士フィロスと、君を合わせたのは事実じゃよ。」

めずらしい。
「認めるんだ?」

「たまには、素直にならなきゃ
 話は進まぬからのぉ。
 ま、早い話 
 騎士フィロスが死んではこまるのじゃよ。」

「なんで?」

いや、人道的な意味じゃなく
単純な理由が知りたい。

「今ははっきりとは言えぬが・・・
 そうじゃな。預言と未来視・・・そういった事かの。」

うわ。

「聞かなきゃよかった。」
えーーっ。絶対 機密のやつじゃん。

後ろでダイナラスさんと、ジョイルが一瞬顔をしかめた。
向かいで座っている騎士フィロスでさえ
驚きを隠せてないじゃないか。

っていいうか、
ウルーチェ先生、それ、トップシークレットってやつじゃない?


「で?俺は何を?」

「まぁ、罪人である騎士フィロスの
 反省と罪を聞いて、「フランチェスコ王子」が許せぬのなら 
 そのまま
 安らかな最後をとは思ったが・・・」

許せるとか、許せない とか
そーゆーんじゃないんだよな。

なんだか 俺 当事者なのに蚊帳の外。ってかんじ?

「そんな顔をするな、
 フランチェスコ王子。
 まぁ、許せるのなら「契約」をしていただこうかと。」

けいやく???
って?
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