冒険者の王子は 旅と恋する
ふと、ひらめいた。
なんっていうの?継ぎはぎっていうの?
ほら、お茶碗とかさぁ、別の金属でいい感じに修正するやつ。
なんだっけ?
うーんどこかで見たんだけど
あぁ、そうか、「前」の記憶か。
俺には
この世界ではない どこかで生きていた「記憶」がある。
その知識を使って、すっげーことやろうと思ったし
なにか使命的なこともあるかもしれないと思ったけど
そんなことはないよ。マジでがっかり。
もともと、王子って立場だから「内政」か!?と思ったけど 俺より優秀な兄がもういるし そもそも、もともと持っている「記憶」とやらにも、政治をつかさどるだけの知識はない。
食の改善とか?いやいや、食事も普通にうまいし。
医療や福祉?まぁそれなりに整ってるって感じだ。
多すぎる魔力がいわゆる前世の記憶というのを呼び出して
精神的に気持ちと魔力が安定したぐらいだな。
で、
その記憶の中にあったわけよ。
伝統芸能的なやつで、茶碗や鍋をいい感じに金とかでつなぐやつ。
あぁいう風にできないかな?
静かに魔力を石に這わす。
ヒビを縫うように俺の魔力をしみこませる。
ってかさ、こんな複雑な作業苦手なんだよな。
ヒビはつながるというか・・・俺の魔力を吸い込んでいる?
「なぁ、騎士フィロス。
これってなんでヒビが入っているんだ?」
「私の魔力だけではなく本来生まれるべきであった
双子の片割れの魔力も補っているからでしょう。
・・・いくら私の魔力が多いといっても、
足りません。」
そうか、本来消えてしまうはずの「命石」だったらしいしな。
これは「ひび割れ」ているのじゃないのか「枯渇」か。
しなしな~ってしてるんだな。
原理はわかったような気がする。
あぁ、俺の苦手な魔力調整じゃん・・・
って、そっか!
「だから・・・冒険者ダイナラスとジョイルが必要だったのか。」
すべては必然ってか?
やっべぇ、マジでウルーチェ先生 パネェっす。
ちらり、と 先生を見ると
ふと 優しく微笑んだ。