冒険者の王子は 旅と恋する

「あーーやっぱりなぁ。」

思わず、わらっちまう。
ウルーチェ先生に画策とか勝てる奴がいたら見てみたいよ。

こうなることを予想して
冒険者ダイナラス、ちがうな、騎士ダイナラスを王宮の門番騎士からここの警備担当にしたんだろうな。

一緒に旅という経験をと言いながら、
ジョイルを連れて、こここさせたのも
ウルーチェ先生の計画通りだろう。


「ウルーチェ先生。
 どこまでが計画通りですか?」
「ふふふ。フラン王子。すべてがというわけでは
 ないがの、まぁ 騎士ダイナラスは計画のうちだな。
 それに、「予知」の・・・」

「あああーーーーーー聞こえない!
 さりげなく 巻き込まないでくださいって。」

「予知」や「夢見」とかの未来視的なやつは、
だいたい、国家機密がらみだよ。

聞いてしまったら ぜってぇ後悔する。
面倒くさい事案ばかりだもんなぁ。

「とりあえず、
 えぇと、」

俺はポケットを探って
ペンを取り出す。
書くものがないな、と思ったら、
すっとジョイルが紙をくれた。
助かる。気が利くな。


えぇっと、魔法陣には繋ぐいや、絆の文様かな・・・
紡ぐか・・・?

これを増幅して、小さくこの石にとどまるように
・・・そうか、束縛の呪いか

術を束縛してこの石に固定・・・


魔術の陣をを組み立てるのは楽しい。
化学反応っていうか、文字を使った実験っていうか。


基本的に丸を重ねてその隙間に字を書いていくんだ。

なんと、その魔法文字がいわゆる「漢字」ってやつ。
最初見たとき、ビビった。
俺、マジで「きたーー」って思ったよ。

ま、そんなことはなかったけどな。
俺は「文字」と理解しているから 覚えが速いだけだったけど、
優秀なやつは「魔法の文様」としてそれを正確に覚えているんだよね。しかも常用漢字じゃないのも覚えているからせいぜいぱっと思いつくのって
中学生レベルじゃね?って俺には
世紀の大魔法使いっていうのは程遠いってわけだ。

ま、これが文字だと認識している分
こうやって文字と文字を組み立てて
魔法をつくって 施すのは得意だけど・・・


「うわーー・・・
 自分で書いておいて・・・あれなんだけど
 細か!!」

書きあがった魔法陣をまじまじと見つめる。

俺は大量の魔力を持っている。
だからこいったこまかーーい魔法陣を思いついたり書けても、
発動させるのはマジで苦労する。思いついても、
この細かい文字の上に魔力を乗せるのが
まじ、難しい。

もともと魔法量多いからマッキーぐらい太くなるんだよね。
魔法陣の模様が。
こーーんな細かいの・・・
針の穴に糸を通すぐらいの集中力を維持しないといけないし。

ま、今回これをやるのは俺じゃないんだけどな。
ちらり、と 後ろに立つ 冒険者ダイナラス。いや騎士ダイナラスとジョイル=シャボンワークを見る。

よし。やってもらうか。

ふぅ。と息を吐いて整えた。

「ダイナラス。任せた。
 ジョイル、サポートを。」

俺は静かに、つぶやいた。

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