冒険者の王子は 旅と恋する

「ん・・・?あ、あぁ!!
 しまった!!」

俺、「光の王子」の姿のままじゃん!!
光の魔力も押しとどめてないし。

そうすると、
護衛騎士が一押しのお手製GPSが働いて俺の魔力に反応して
場所がバレる!!

「やべぇ!
 ジョイル!すぐに移動の用意を。」

慌てて姿を変える
耳飾りをつけなおす。
気休めに、急いで結界をその辺に飛ばす。
目くらましってやつ。結界があったら、なにか守っている風だからな。

「騎士フィロス・・・
 じゃなかった。フィロス!!一緒にくるんだろ?」

「え?」


早くしないと、
連れ戻される!

慌ててフィロスの手を取る。
俺より年上のはずのフィロスの腕 ほっそい。
たしか、10歳ぐらい年上だろ?

あ、そうか、割と危篤だったな。


「チェース!こっちです!!」

ジョイルの掛け声とともに、思いっきりジャンプする。
俺とフィロスにジョイルが「速度」の魔法をかける。

そして、大きくジャンプするように走り出した。

「フィロス、大丈夫か?ついて来いよ??」
「は、はい。」



魔法の移転は追跡しやすいからな、
だから、あえて 走る。


走りながら、フィロスは
ぶつぶつつぶやきながら 空に向かって術をはじき出した。

「フィロス、無理すんなって。」
「はい。フランチェスコ・・・いえ、チェース君。
 魔力の燃やして、
 拡散しました。しばらくは 迷うでしょう。」

「・・・えぇっと、さすがフィロス様ですね。
 炎の熱風と風を混ぜましたか?」
「はい。さすが ジョイル=リザマート・・・いえ、
 今はジョイル=シャボンワークでしたね。
 魔力の流れをよく読んでいらっしゃる。
 「第二王子付き」の護衛騎士はまっすぐな奴なので
 こういった拡散魔法に惑わされやすいので。」

あぁ、あいつか。
赤い髪の、よくいたずらすると眉間にすげぇしわ寄せるんだよな。


とりあえず、
友人と、旧友と、

どこにむかおう!!??

わくわくしかねーーな。


「ほれ、二人とも!!
 行こうぜ!!」

そんなこと思いながら、俺はジャンプするのだった。
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