冒険者の王子は 旅と恋する


とりあえず、
ウルーチェ先生は持ち前のマイペースを発揮しながら
ほいほい、と
荷物袋(高級品)いわゆるアイテムボックス的なのを
二人に持たせて、
上級魔法たっぷりかかったハンカチをとりあえずポケットにねじ込んで

最後に、陰影の魔法を俺とジョイルにかける。

アイテムボックスには俺の拠点であった
食堂の部屋の物が全部入っていた。
え?そりゃ冒険者だけじゃまだまだ食べていけないから
アルバイトしてたんだよ!

あー、落ち着いたら
店長のランチャーさんに急にいなくなったことを謝りに行かなくちゃな。
バイトの逃亡って
店的にはすっげぇ迷惑だよな。



ジョイルも、自分の私物がいろいろ入っていたようだ。



「ほれ。いくぞ。」





ここはどこなんだろう。

ココ、隠された通路なんじゃよなー。
内緒にしとけよ。

って、軽く国家機密を知らされた
森の中の道を歩いて、
海の近くに出る。

んで、海の中に入っていったんだよな。
海の中!!と思ったら
道が続いていて
これも 秘密の通路、らしい。

だから、
ちょいちょい 機密を漏らすなって。

ウルーチェ先生。
俺とジョイルを信用しすぎだから。


なんだかんだで、

ついたのは、大きな門の前。

「うわ、なんか・・・城跡みたいな
 門構えが重苦しいな。」
「ふふ。まあなぁ。
 ここは、監獄じゃからな。」

「「え?」」


ウルーチェ先生は気にする様子もなく、
門の前に進む。

門の前には・・・あれ??

「ダ、ダイナラスさん?!」

「・・・・え?
 チェース??」


まさかの、知ってる人だった。


「なんじゃ、知り合いか。
 ダイナラス。久しいの。
 今月は私じゃよ。」

「あ、はい。ウルーチェ様。
 お待ちしておりました。」

ダイナラスさんは、びしっと姿勢を正して
ウルーチェ様に騎士の礼をとる。

って、なんで彼がこんなところに。


「ってか、どうして
 賢者ウルーチェ様と、チェースが一緒で・・・ 
 というか、チェース・・・
 あの、お嬢様の依頼はどうなってんだ?」

「あぁ、お嬢様の依頼は、
 このウルーチェ様のせいで、途中破棄だな。
 あ、彼はジョイル。
 一緒に旅する友人だ。
 ジョイル、彼はダイナラス。海辺の町の冒険者の先輩。」

「・・・初めまして。
 ジョイル・・・です。」

「おぉ。オレはダイナラス。
 騎士兼冒険者だな。」

ダイナラスさんはがはは。と豪快に笑った。
大きな手でジョイルによろしく、と握手をして
わしゃわしゃと頭をなでる。

相変わらず、豪快だな。

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