冒険者の王子は 旅と恋する
「というか、
チェースはなんでここに。」
そうですよね。
俺も、それが知りたい。
ウルーチェ先生は、にやり、と笑う。
変なこと考えているんでしょうね。といった笑いだ。
「ダイナラスと知り合いであれば早いのぉ。
ダイナラスの『力』は知っているであろう?」
「え?あぁ、まぁ、
二度ほど一緒に仕事しましたから。」
ダイナラスさんの得意なのは『力の増幅』の陣だ。
ガタイに似合わず、繊細な綺麗な増幅の陣を書くんだよなぁ。
「ここは、通称「光の監獄」というのじゃ。
まぁ、重要犯罪者の収容場所じゃな。
光の結界は あらゆる魔力を弾くからな。
強固な檻になるのじゃ。」
「がはは。オレはこの監獄の檻を守るための極秘任務中の騎士
って訳だな。
月に一度、王都から来る光の術者と一緒に
術をかけなおして檻を作る。」
「ちょ、ちょっと待って。
だから、ウルーチェ先生。
極秘情報 教えすぎだって。」
「お前だから、いいじゃろ?」
まぁ、立場的に「フランチェスコ第二王子」なら構いませんが。
戻る気は ないけど、
もし、戻るのであれば俺も、光の術者になるだろうしな。
ジョイルが気まずそうに
目をそらす。