冒険者の王子は 旅と恋する
ダイナラスさんは がはは、と豪快に笑って、
「そーか!!
もしかして、チェース、「光の術者」にスカウトされたか!!
それとも騎士か!?
オレも、お前の体力と魔力の多さには目を付けてたんだよな。
ウルーチェ様に目かけられてるんなら、
すごい術者になるな!」
「いやいや、違うから。」
そもそも、俺、とっくに光の術者の認定受けてるし。
「ダイナラス。
今日は、面会もするが・・・一緒にいくかい?」
「・・・・。ウルーチェ様。
でも、オレ・・・アイツの顔見たらブッ飛ばすかもしれませんが
いいですか?」
「あぁ、前の面会の時は
水をかけたんだったかの?」
ウルーチェ先生は、ふふふ、と笑って
門に手をかざした。
*
***
*****
意外と、シンプルできれいだ。
それが第一印象。
部屋に
重厚な木の机に
ソファとカウチ。
机の向こう側に
少し離れて木の椅子が置かれている。
ちぐはぐなテーブルウェアって感じだが
罪人の檻。という割に
和やかな印象を受ける。
人、というには、存在が「奇妙」な存在が
部屋の四隅に、
きっと扉の周辺にもいる。
ジョイルが、少し顔をゆがめる。
「ほう。ジョイルは気が付いたか。
我々には危害をくわえぬから、気にせんでよいよ。」
「・・・ウルーチェ様。
なかなか・・・ 鬼畜ですね。」
うん。なんか、術がかかっているらしい。
聞かなかったことにしよう。
強面のダイナラスさんといえば、
この部屋に入ってからというもの、
一層 眉間にしわを寄せて
緊張の面持ちで、ウルーチェ先生の後ろに立っている。
怖いって。顔。
「ほれ、チェース。
ソファに座れば、面会開始じゃ。」
「はぁ。いいですけど、
面会って・・・誰ですか?」
茶色のソファの背をなでる。
ウルーチェ先生は、ふふふ、と笑う。
「なんじゃ、まだわからないのか?」
「ウルーチェ様が会うのではないのですか?
あいつと、チェースは何の関係が・・・?」
ダイナラスさんがますます眉間にしわを寄せる。
まぁ、座れ。
とウルーチェ先生がいうから、仕方ない。
進められた 少し大きめのソファに腰を掛ける。
ダイナラスさんと、ジョイルは、
すっと俺の座ったソファの後ろに立つ。
ウルーチェ先生が一人用のソファに座った瞬間、
向かいの木の椅子が
がちん!!と音を立てて
バシュっと小さな風と共に、
ドスン!
そいつが・・・
急に表れた。
「・・・。」
少しうつむき加減に現れたその男は、
まばらのグラデーションの赤い髪に、シンプルな白っぽい麻の魔文が施された服を身に着けていた。あーー、首と手足の白い枷に目が行くが、身のこなしは上品だな。
と、顔をあげたそいつと目が合う。
あ、あれ?