さよなら、片想い
「そんなしょっちゅう、前の彼女に再会するのだと想像すると、私とっても嫌な気分になるんですが。会ってるかもしれないって思うだけで気持ちが沈むんですが。九人でしょう? どうすればいいの? 私、病気?」
岸さんの半袖の裾を掴んでいた。
病気じゃない、と岸さんは答えた。今みたいに言ってくれていい、とも。会えるなら会う。一緒にいたいならそうする。抱きしめてほしいなら抱きしめる。望むようにすればいい、と。
心にメモでもするように、言われたことを反芻する。
「実際、今はどう? この部屋にいる今は」
「穏やかです。たまに、どきどきもします」
「そう」
口づけをひとつしてから、岸さんはぽろっとこんなことを言った。
「俺は君がそこまで嫉妬してくれるのが、正直嬉しい」
「はあ!?」
「なんとも思っていなかったら、そこまで気にしない。とはいえ君が不安がるのを喜んでばかりもいられないから、もしものときにはまた枝豆写真を見せて牽制するよ」
私は扱いに困る感情にそれは嫉妬だと名をつけられて、言葉を失っていた。
それに、あの写真にそこまでの効果を期待できない。むしろ、こんな頭の弱そうな子が相手なら勝てると思われそうだ。
そこに岸さんはさらに驚きをもたらした。
「正直ついでにもうひとつ。結衣ちゃん、今度の引っ越し先で一緒に住まないか」
岸さんの半袖の裾を掴んでいた。
病気じゃない、と岸さんは答えた。今みたいに言ってくれていい、とも。会えるなら会う。一緒にいたいならそうする。抱きしめてほしいなら抱きしめる。望むようにすればいい、と。
心にメモでもするように、言われたことを反芻する。
「実際、今はどう? この部屋にいる今は」
「穏やかです。たまに、どきどきもします」
「そう」
口づけをひとつしてから、岸さんはぽろっとこんなことを言った。
「俺は君がそこまで嫉妬してくれるのが、正直嬉しい」
「はあ!?」
「なんとも思っていなかったら、そこまで気にしない。とはいえ君が不安がるのを喜んでばかりもいられないから、もしものときにはまた枝豆写真を見せて牽制するよ」
私は扱いに困る感情にそれは嫉妬だと名をつけられて、言葉を失っていた。
それに、あの写真にそこまでの効果を期待できない。むしろ、こんな頭の弱そうな子が相手なら勝てると思われそうだ。
そこに岸さんはさらに驚きをもたらした。
「正直ついでにもうひとつ。結衣ちゃん、今度の引っ越し先で一緒に住まないか」