さよなら、片想い
 駐車場を出る宏臣の車を見送った直後、ウインカーをつけたバイクが寄ってきて止まった。
 岸さんだった。
 だから知りあいに会いそうだと、あれほど……!


「どうした」

 宏臣といたのは見られていないと思う。やましいこともしていない。
 だけど、岸さんのほうを見づらくて、バイクの銀や黒の配色に目を落としていた。

 岸さんは私が答えるまでここで黙っているんだろうか。
 帰宅で交通量の増える時間帯だ。幅寄せしているとはいえ邪魔なのでは。

「どうもしてないです」
「これは」

 岸さんの指がついと私の唇を指す。

「チョコ?」
「バナナパフェおいしかったです」

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