さよなら、片想い

「意地悪につきあうだけのＨＰ、残ってないんです。また今度に」

『回復しなくていいの』

「……どうやって」

　予想だにしない方角へ会話が進む。


　今日はいろんなことがありすぎた。
　そばにいたいと岸さんに伝えようと思ったこと、思った矢先に聞かされた岸さんの恋の噂、宏臣の結婚の障害と彼を励ましたい気持ち……一晩置いて整理したかった。
　明日になれば、ほんのわずかでも時間を置けば、岸さんからどんなことを聞かされてもそれなりの体裁を保てそうな気がした。

　はじめはその体裁に演技が入るかもしれない。
　でも続けていれば本物になる。
　名取結衣はそういう子だと思ってもらえる。

『会えればそれでいいよ』

「なんだか、回復したいのは岸さんのほうみたい」

『当たってるよ。俺が会いたいんだ』