さよなら、片想い
 少しためらったけれど、はいと言うしかない。言われて申し訳ないと思ったのも事実だ。

「でも、少しですよ。程々にですよ」

『手強い相手だから手加減できないかも』

 私もさすがに黙り込んだ。
 この人、なにをする気?

『名取さんって本当、おもしろいね』

 通りの向こうからバスが来るのが見えた。
 そこでようやく、通話を切り上げることができたのだった。
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