1日だけの想い夢
「な、何で笑うんだよっ!」
「ははは……ごめん……でも、時雨は変わってるなって……くくく………はぁー面白いっ!」
「こっちは真剣に……」
「そうだよね。ごめん……ちょっと待って。今、落ち着くから」
そう言うと、ミキは大きく深呼吸をしながら涙が溜まった目をゴシゴシと手で拭った。
「時雨の言う通りだ。薫は僕があやかしだからって嫌がるような子じゃないよね。……まだ、時雨が僕の傍に居てくれるんだ。僕も諦めない事にするよ」
「……まぁ、俺が勝つけどな」
「不器用な君には負けないよ」
2人はそう睨み合った後、くくくっと小さく笑い合った。
「………ありがとう、時雨。本当に君が僕を覚えていてくれて嬉しいんだ。また、遊ぼう。そして、薫の話を聞かせてよ」
「あぁ。そうするよ」
時雨とミキは、手で拳を作り、お互いの拳をコツンッとぶつけた。
時雨はその時、1日でも多くミキを覚えていられるようにしよう、と心に決めたのだった。