1日だけの想い夢
エピローグ
エピローグ
この日は、家族で家の片付けをしていた。
荷物を段ボールに入れていくうちに、部屋は少し寂しくなり、段ボールの数だけが増えていく。服など着るものは出しておき、キッチンも必要最低限だけで後は片付ける、など意外にも頭も体力も使う仕事だった。
「ままー!このうさちゃんはダンボールにいれなきゃだめ?」
「桜もお片付け頑張ってたのね。うさちゃんは入れた方がいいけど、それだけ手に持っていくなら入れなくてもいいわよ」
「やったー!楓お兄ちゃんにも1つならいいって教えてあげよう!」
そういうと、もう少しで小学生になる桜は、パタパタと走って子ども部屋に向かった。すると、兄の楓(かえで)と妹の桜(さくら)の楽しそうな声が聞こえて来て、思わず微笑んでしまう。
「寂しくなるな」
「あ、時雨。寝室の片付けはどう?」
「後はベットぐらいだから大丈夫だ。……いよいよだな」
「うん。この部屋とさようならなのは寂しいけど………新しい家、楽しみだね」
そう言って薫と時雨は微笑んだ。
2人は27歳で結婚し、子どもも産まれた。双子の兄妹で、もう1年生になるのだ。
今の場所も住みやすいが、自然が多い場所がいいだろうと2人の地元に戻ることに決めた。のびのびも育ってほしいと2人で考えた結果だった。
「それ………また、見てたの?」
「あぁ………何だか、気になるからな」
「でも、本当だったら素敵ね」
「そうだな」
時雨が手にしていたのは、とあるファイルだった。少し前に寝室を片付けていた時に見つけたのだ。