その青に溺れる

「本気か?」

彼の口調に久しぶりにジョニーとケニーが現れる。


《おいおい、ジョニー正気か?!そんなの初めて聞いたぜ?》

《ケニー……君は物を知らなすぎる、少しは僕の助手として勉強してくれよ》


既に自分の手は力を無くし、涼太の手に重なってるだけだった。

「本気だったらなんなの」と語尾を強めて言う涼太に

彼は短い息を吐いて

「いいんじゃない、柚月がいいならな」

そう言い、煙草を灰皿に押し付けて揉み消す。
その反動で灰皿が浮き、機材デスクとぶつかる音が何故か耳に残った。

彼の言葉に涼太は自分に向かって言う。

「柚月、携帯貸して」

少し躊躇して差し出すとあっと言う間に浚われ、瞬きをする間に携帯が返ってきた。
そして自分が何か言葉にする前に彼の口が開く。

「終わったら帰っていいぞ」

その言葉に続くように涼太はあの笑みを作りながら声を掛けてくる。

「連絡する、必ず」

自分は何一つ言葉にも態度にも出来ず、個室を追い払われるように出るしかなかった。
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